佐藤尉隆 「porous (浸透性) vol.1 ─風景のために─」
期間:2002年4月1日(月)〜20日(土)
場所:銀座 晶アート2階

Yasutaka Sato
"porous" vol.1 - for landscape -
・・・・・森を映した写真作品を皮切りに

 人間は、答えを見いだしたつもりになって、しばらくすると忘れてしまう生き物なのだろう。今回の写真作品は、まだ自分が絵を学びはじめた頃から表現したいと望んでいた「静けさ」を秘めた風景で、それは何か特別なものが写りこんでいないありのままの「森」の姿です。

 この「風景」との出会いによって長らく自分が潜在的に求めていた考えのルーツが具現化してきそうに思える。それを"porous"= 「浸透性の、多孔性の」と呼ぶことにします。しかし僕は、対象を作為によってではなく、自然が持つ浸透性を無作為さの彼方から引き出し、非線形的な引き延ばされた時空感覚の拡がりを抽出し「呼吸させる」ことにこだわりを感じています。

 現代的な作品のほとんどは直接見ることの経験・時間よりも、ものの見方を規定するある一定のルールのもとに知的な経験が蓄積された時間が強く見る側・作る側の両サイドで働いている。その営みの対極のベクトルは「自然」を見ることだろう。.....だが、作為的でないありのままの「自然」の本当の姿を見ることは実はほとんど不可能になっているのではないか? ストーリー不在のドキュメント。あるいはロスコの絵画のように、徹底的に無駄を排除した時にあらわれる存在0°の地平。静けさの極限の中で浮き彫りになる言葉にならない詩。非常に重要なこれらのことが、今や日本人の意識から失われつつある様相をひしひしと感じるが、その原因は、情報化社会の渦中で切断されてしまいそのまま放置されたままの「見ること」と「時間」の関係の喪失にあると思われます。

 こういったアートにかつてあったはずの重要な機能を「復活」そして「再生」するため作品制作の必要を感じ、今回はまずそのための第一実験段階となります。

                            2002年2月18日  佐藤尉隆
 
佐藤尉隆 「porous (浸透性) vol.2
─洞窟としての耳のために─」


Yasutaka Sato
"porous" vol.2 -for ear as cave -

■ワークショップ概要

 サトウヤスタカは、参加者の「耳」を撮影し、コレクションする実験的ワークショップ 「洞窟としての耳のために」を、青山アートハウスで3月19日〜24日に、銀座 晶アート2階の展覧会場で4月8日〜13日に行いました。

 ワークショップに参加して、撮影する自分の「耳」をモチーフにした作品の著作・展示・販売権を、製作者・サトウヤスタカに認めることに同意した方に、撮影した「耳」の写真をその場でプレゼントしました。


佐藤尉隆 (旧・中野渡尉隆)
Yasutaka Sato (ex.Yasutaka Nakanowatari)


1992年 東京芸術大学美術学部油画科卒業
1994年 東京芸術大学大学院美術研究科油画技法材料研究室修了
1997年 東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程満期退学

■個展
1991年 「Energy Motion」 ギャラリーKIGOMA、東京
1994年 「NCAF'94(レントゲン芸術研究所)」 名古屋市民ギャラリー、名古屋
1996年 「二重反転」 INAXスペース高松、香川
1997年 「不確定乙波」 東京芸術大学芸術資料館陳列館
2002年 「porous (浸透性) vol.1 ─風景のために─ 」 晶アート、東京
      「porous (浸透性) vol.2 ─洞窟としての耳のために─ 」 青山アートハウス、東京
      「洞窟としての耳のために」 gallery ARTE、香川県丸亀駅構内

■グループ展
1990年 「8人」茨城県つくば美術館、茨城
1993年 「fo(u)rtunes」、レントゲン芸術研究所、東京
      「ギンブラート」、銀座路上、東京
      「Smooth Surface」、レントゲン芸術研究所、東京
1994年 「"OUT OF BOUNDS" 海景の中の現代美術展」、
      ベネッセハウス直島コンテンポラリーアートミュージュアム、香川
      「POOL 2」、レントゲン芸術研究所、東京
1995年 「Methods of Dance」、レントゲン芸術研究所、東京
      「バーゼル・アート・フェア(レントゲン芸術研究所)」、バーゼル
1996年 「ヒニクなファンタジー」、宮城県美術館、仙台
      「フィロテック」、大田区産業プラザ、東京
      「フィリップモリスアートアワード1996」スパイラル/ワコールアートセンター、東京
      レントゲンクンストラウム、東京   
      「モルフェ’96」、ヴィジョン・ネットワーク、東京
2000年 「空き地」 豊田市美術館、豊田
2001年 「キッズアートあおもり2001-市場最大の作戦」 青森市内各地、青森県美術館準備室
2002年 「第1回府中ビエンナーレ ダブル・リアリティ」 府中市美術館

■賞歴
1994-95年 佐藤美術館奨学生
1997-98年 ポーラ美術振興財団より1年間の研修助成を授与され、ドイツ・アメリカに滞在