ハレの日
2002年10月13日
会場:BOICE PLANNING Bギャラリー
出品:雨宮庸介・佐藤純也・丸橋伴晃・横山慎二・米原昌郎・右上
 BOICE PLANNINGは展覧会とスカラシップを主な活動とする非営利の任意団体です。美術作家を中心に確固とした質の高い現代美術の在り方を自らの手で作りだし、それを目撃してゆきたいとの意志により集いました。

 この度一年間の準備期間を終え、2003年3月より「岩尾恵都子展」を、7月より「ゴールドビールケーススカラシップ」を開始します。それに先立ちスペースのお披露目を兼ねたBOICE PLANNINGスタッフによる展覧会と、ささやかなパーティーを開催いたします。
                         BOICE PLANNING スタッフ一同
 
混沌からの揚力

 この数年、経済不況等を背景に、オルタナティブ・スペースや百貨店系の美術館が次々に閉鎖し、画廊や美術館による意欲的な企画展が減少する一方で、作家の自主運営スペースや、愛好家・キュレーターが運営する非営利スペースが増加している。著名でない限り作品が尖鋭であればあるほど発表が難しくなる環境の中で、不動産の空きが増え賃貸料も安くなるなど、こうしたスペースを設置する動機や環境が整ったのである。さらに、一時的にオルタナティブなスペースを確保する形の、ビデオなど可搬性が高い作品によるゲリラ的グループ展、廃校を転用した展覧会なども行われるようになってきた。

 その結果、各スペースの単なる相互交流を超えて、例えば、座談会のような催しを開いたリ、連携してアート・イベントを開催するなど、ひとつのシーンが徐々に姿を現しつつある。実際に、20台から30台前半の優秀な作家達が、次世代の中核を担うべく、このシーンから輩出し始めている。現代美術のフロンティアとして認識される、インスタレーション、パフォーマンス、非定形作品等の販売しづらい表現活動を行う、いわゆる「金にならない」作家達にとっては、これらのスペースでの活動やレジデンス等の助成が、いわば「生命線」ともなっている。

 連合することにも理由がある。スペースの多くは作家による共同運営であり、非営利で経済的利益を得るインセンティブが希薄である。その当然の帰結として、すぐれて政治的な美術界の中、戦略的に行動することが苦手なのである。すなわち、皆が連携しなければ、分散した弱い力のままで終わってしまう可能性が高い。逆に皆が連携すれば、ひとつのシーンが開けて来る。ひとつのシーンが生まれれば、より幅広い活動へのチャンスともなり、歴史に特記されることもあるだろう。

 この新たなシーンに参画しようとしている「BOICE PLANNING」もまた、自主運営・自主プロデユースを行う、アトリエ兼ギャラリー型のアーチスト・スペースである。しかも、スタジオ食堂などの世代が開拓した方法論を更に進めた、独特のプログラムを有する点で特色がある。アトリエ、事務所のほか、所属作家の個展や、招聘作家による比較的長期間の企画展を行うための大小二つの展示スペースを構え、年2回のスカラシップ活動を行う予定である。また、これら以外にも、様々なプランを検討中である。

 可能性に溢れた状況というのは楽しいものである。たとえ、現時点での達成が道半ばであるとしても、作家達はスペースとともに育っていくだろう。それぞれの才能の下、可能性は未来にひらかれている。

                                  深瀬鋭一郎